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ご挨拶
おかげさまで、前田商店は2025年2月に創業160周年を迎えることができました。
「創業から30年続く会社はごくわずか」といわれる中、1865年(慶応元年)に初代・前田重兵衞が創業して以来、160年もの長きにわたり同じ業界で事業を継続できましたのは、先見の明を持つ歴代・重兵衞の経営手腕はもとより、日々ご尽力くださる社員・スタッフの皆様、そして仕入先様やお取引先様をはじめとする関係各位のご支援の賜物と、深く感謝申し上げます。
支えてくださるすべての皆様に、心より御礼申し上げます。

5代目社長 – 前田要一 より
私は、前田商店の五代目にあたります。
子どもの頃から漠然と前田商店への想いを抱いており、将来的には自然と会社を継ぐものだと考えておりました。実際、進路を決める際にも他の選択肢を考えることはなく、2007年4月に営業職として入社いたしました。
入社後は、組織内の立場によって物事の見え方や考え方が異なることを肌で感じながら、経営についても少しずつ学んでまいりました。そして、勤続12年という決して長いとは言えない期間ではありますが、2019年9月26日に代表取締役社長に就任いたしました。
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100年を超える歴史を持つ企業であるだけでなく、売上規模の面でも一定の実績が認められるよう、「年商100億円」という目標を掲げ、社員一丸となって取り組もうとした矢先に、コロナ禍が訪れました。
当初は例にもれず手探りの状態で、焦りや不安もありました。しかし、弊社は専門店から大手工場規模のお客様まで、これまで築いてきた幅広い取引先様との関係性があり、そのおかげで一時的に売上は落ち込んだものの、1〜2年で回復に転じることができました。危機的な状況に陥ることなく乗り越えられたのは、まさにありがたいことであり、関係各位のご支援に深く感謝しております。
また、昨今は原材料価格の高騰や「カカオショック」など、依然として厳しい経営環境が続いております。そうした状況下にもかかわらず、昨年度はありがたいことに、目標に掲げていた年商100億円を達成することができました。
この成果は、日々現場で努力を重ねる社員の頑張りはもちろんのこと、なによりも弊社を信頼し、お取引を続けてくださっているお客様や関係者の皆様のご支援の賜物です。
弊社は創業以来160年間、黒字経営を継続してまいりましたが、今後も資金繰りや財務面の健全性・安全性を高め、「信用できる企業」であることを客観的に証明できるよう、財務分析や内部管理体制の強化に取り組んでおります。
これからも皆様に安心してお取引いただける会社であり続けられるよう、誠心誠意努めてまいります。
株式会社前田商店について
前田商店は、商社機能とメーカー機能の両方を併せ持つ「卸問屋」としてご紹介いただくことが多くございます。
もともとは菓子の製造業からスタートし、戦後には製菓原料の卸売・問屋業へと事業の軸を移しながら、現在に至るまで発展を遂げてまいりました。
その過程においては貿易業に関するノウハウも培い、単一業態にとどまることなく、複数の機能を兼ね備えた企業としての地位を確立しております。
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グローバルな視野を持っていた三代目・前田重兵衞の経営のもと、弊社は商社としての基盤を築き、貿易業を開始しました。
日本で初めてベルギー産クーベルチュールの輸入を行った実績があり、現在も世界的に高い評価を受ける「カレボー」ブランド製品を取り扱っております。また、製造業で培ったノウハウを活かし、直輸入したアーモンドを自社で加工・販売するなど、チョコレートとナッツに強みを持つ企業として、業界内で高い評価をいただいております。実際、売上の約60%をカカオ関連、約20%をナッツ類の商品が占めています。
一方で、多様化するお客様のニーズに応えるため、既存の商材に加え、新たな商品群の分析と積極的な投資にも取り組んでいます。近年では、チョコレート製品のラインナップ拡充や新ブランドの取り扱い開始、製菓機械のご提案などを進めており、少しずつ成果が見え始めています。
デジタル化が進み、モノや情報があふれる現代においては、サステナブルな取り組みが反映された商品や、新たな市場価値を持つ商品がグローバルな視点でも注目される時代です。当社としては、卸売問屋でありながら貿易機能を持つ強みを活かし、既存商品の魅力を保ちつつ、新たな可能性にも柔軟に対応し、お客様にさらなる選択肢をご提案できるよう、取り扱い商材の見直しと拡充を進めてまいります。
今後の商材戦略のひとつとして、「機能性」というキーワードに着目しています。機能性食品を主力とするメーカーはすでに多数存在しており、当社も新たな展示会への出展などを通じ、機能性商材を単体で提案・販売することの難しさを実感しています。しかし近年、製菓・製パン業界においても「機能性」という付加価値を持つ商品が徐々に広がりつつあります。
現在は、既存の製菓原料と組み合わせる形で一部の機能性商品のご提案を行っておりますが、今後はそのラインナップをさらに拡充し、お客様の新たな商品開発につながるアイデアをご提供できるよう、挑戦を続けてまいります。
また、メーカー機能としての自社加工・製造体制についても、将来を見据え、今後10〜15年を目標に、さらなる強化と充実を図っていきたいと考えております。
社内の取り組み
直近の大きな社内変化として、コロナ禍を契機に働き方に関する制度の見直しを行いました。以前は支店との会議をすべて対面で実施しておりましたが、現在ではオンライン会議の導入に加え、テレワークや時差出勤など、新たな働き方の仕組みが定着しつつあります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)については、まだ十分に対応できていない部分もございますが、「人・商品・システム・設備投資」のバランスを考慮しながら、社員がより働きやすい環境づくりを目指して取り組んでおります。
また現在は物流体制の見直しを進めており、その一環として、本社倉庫についても今後3年を目途に建て替えを計画しています。物流の最適化は、お客様へのサービス品質向上と社員の業務効率化を両立するための重要な取り組みと位置づけ、今後も継続的な改善を図ってまいります。
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当社では人材育成において中途採用を主軸とし、各人が持つノウハウや経験を積極的に取り入れることで、多角的なアプローチが可能となる組織づくりを目指しています。特に、専門知識やスキルを有する方には、より専門性の高い業務を担っていただくことで、個々の強みを最大限に伸ばすことを重視しています。
一方で、マニュアル化や業務の標準化が十分に進んでいないため、属人的な業務が多く、せっかくのノウハウが会社全体として継続的に活用されにくいという課題を抱えています。
今後は、適材適所の配置を行うとともに、新卒・中途を問わず、入社後できるだけ早い段階で一定の業務レベルに達し、生産性向上への意識を持って活躍できる環境づくりを進めてまいります。
誰もが能力を発揮し、成長を実感できるような土台を築くことで、より持続可能な組織の成長へとつなげていきたいと考えています。
大切にしていること
私が大切にしているのは、社長就任後の1年間をかけて考え抜いた「VISION(目指す姿)」「MISSION(使命)」「VALUES(価値観)」です。
これらの考え方を社員一人ひとりと共有し、同じ方向を向いて進んでいけるよう、毎週の朝礼でも繰り返し唱和しています。取り組み始めて数年が経ちましたが、いまだに全社的に十分浸透しているとは言えず、実際の行動にまで落とし込めていないと感じる場面も少なくありません。
私は、共に働く社員の皆さんには、物事を主体的に捉え、自ら考え、積極的に行動してほしいと願っています。そして、目指す成果に向けて、ともに挑戦し、努力していける関係を築いていきたいと考えています。
そうした姿勢や行動をしっかりと評価するとともに、私自身も言葉だけでなく、具体的な行動をもって方向性を示し続けることで、全社が一丸となって「目指す姿」に近づき、より強い組織へと成長していけるよう取り組んでまいります。
10年後に向けて – ひとこと
このたび、創業160周年を迎えることができましたことにつきまして、改めて前田商店に関わってくださっているすべての皆様に、心より御礼申し上げます。
弊社が次に目指す節目は、創業170周年となる10年後であり、その際の目標は「年商150億円の達成」です。
この目標を実現し、企業としてさらに成長していくためには、人材・商品・システム・設備など、あらゆる面で時代の変化に応じた進化が求められると感じております。
一方で、弊社が大切にしている行動指針のひとつ、
「情報とアイデアと共に原材料を供給する」
という姿勢は、今後も変わることはありません。これからも、品質の高い商品をお届けするのはもちろんのこと、正確な情報をお伝えし、付加価値のあるご提案を通じて、皆様のビジネスに貢献できる存在であり続けたいと考えております。
引き続き、変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げますとともに、今後ともご指導・ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

